【昔話】ゲーム業界をリタイアしかけた話
このブログでは割と効率的な開発についての話だったり前向きな話が多いのですが、過去の私はそうではなかったのです。何があって、今前向きに物事を考えることが出来る様になったのか、少し書いてみたいと思います。
「少し書いてみたいと思います」なんて偉そうに書き始めたものの、簡単な話が「身体を壊しちゃった」からなんですよね。プロフィールにも書いていますがゲーム業界歴としては10数年になります。アルバイト時代も含めるともう少し長くなりますが、世間一般で言う中堅クラスな年齢です。
当時、スマホも最新機種がiPhone 3GSだの4だのと言われていた時代。 大手さんからの出向依頼があって、当時勤めていた受託会社からプログラマとして出向することになりました。少しゲームを遊んだことのある人であればだれでも知っているキャラクターが登場するゲーム。その開発に携われると知った私は嬉しくてやる気に満ち溢れていました。
出向先へ行くと現場の方々との挨拶もほどほどに開発がスタート。開発は順調に進んでいました。この時は一人出向で少し不安でしたが「なんだ、結構できちゃうものなんだな」って自信が付く程度には余裕がありました。
そんな時、イベントが発生しました。開発が終盤に差し掛かった頃、自社から後輩君たちが2名ほど、案件は別でしたが同じ会社へ来ることになったのです。新しい仕事を受けたらしい。それは良いことだし、頑張ってくれという気持ちでいました。
後輩君たちの案件は、スマホで遊ぶミニゲームの様なものを複数作ることでした。期間は2か月ほど。彼らにとって、初めてな開発ということもあり、難しそうにしていましたが、なんとか形になりそうな状態まで持っていけた様子。しかし、私が担当していた案件も、ほぼ完了というタイミングで事件は起きたのです。
「Kazuponさん、もう一つ別の案件を契約したから延長で」
あー、まじかよ。と、心の中ではもうすぐ自社に帰れると思っていたのでガッカリ。それと同時に、追い打ちをかける様に後からやってきた後輩君たちの方は契約満了で帰社。
彼らが帰社した後、その案件のお偉い方から相談が来ましした。
「Aさん、Bさんがやってくれた部分、フォローお願いします」
…要するに炎上していたわけです。何故彼らが居る時に言わなかったのか。尻ぬぐいをして欲しいといった内容でした。すでに他案件で契約中なのに。帰社した彼らはそれぞれ別の案件を担当していましたが、当時の社長とも相談しましたが「頑張ってくれ」と、2案件増えることに。
ゲーム開発、3本同時並行。
午前は元々の案件を消化する。プログラム言語はC/C++。
午後は尻ぬぐい案件を消化する。プログラム言語はObjective CとJava。
3言語同時開発。なんだこれ。実は途中にFlashとか古の遺産まで触ることになりましたが、それは割愛。
何度も自社に応援が欲しいと相談しましたが「今人が居ない」とのことで増えない。
仕方ないのでこの状態で進行することに。作業そのものは案外どうにかなるもので、納期に遅れることもありませんでした。現場からの評価もそれなりに高かったそうな。
しかし、知らないうちに自身のできる範囲・量を超えていたらしく、昼食は毎日同じ店、食べるものも同じ。少しずつ身体が蝕まれていました。この時には通勤時も、帰宅時も、仕事のことしか考えられなくなっていました。
ある日、仕事が終わり帰宅して、いつもの様に夕飯を食べ、お風呂に入り布団に入ると。
「あれ?眠れない」
ジッと布団の中で時が経てど、結局朝まで眠れず。そのまま出社することに。
この日は、眠いなりにも仕事は終え帰宅。
また同じ様に夕飯を食べ、お風呂に入り、布団に入る。しかし
「眠れない」
少し様子を見て見よう・・・
やっぱり 「眠れない」
何処かおかしい。気になって病院で診てもらうとそこには
自律神経失調症
との診断結果が。どうやら精神が安定していなかった様で、知らない間に身体が蝕まれていたらしい。
先生からは、お薬が処方され、3週間ほど会社を休むことに。自分の限界を把握していなかったらしい、若さに任せてなんとかなると思っていたらしい。無理をしてはいけないと、その後の私を再構築するきっかけになりました。
仕事に復帰してからも症状というか、いきなりフルタイム働くことは難しくて、大好きだったゲーム開発、プログラミングをしていると急に頭痛がして耐えられなくなり、早退してしまう。苦痛というより奇妙だった。そんな生活が半年くらい続きました。一瞬、業界を辞めることも考えてしまった。自分には向いていないのかも、と。
当時を振り返ってみると、相当に無理をしていたのだなって改めて思います。
自分がやらなきゃ、誰がやるんだ?みたいな謎の使命感。好きなことだからといって、身体を壊していては何の意味もないですよね。
ある意味、この事件がきっかけで、今の自分が構築されていると思うと感慨深いなぁって思います。今は家族にも恵まれ、妻と娘と楽しくやってます。
復帰した直後に僕を待っていたものは「3DS の新規案件のメイン」だったんですけどね笑。殺す気か。
ドライに行動することが、無理をしない第一歩の様な気がします。